オールナイトペイン

ただやはりショックは大きいもので、月曜日のラジオをいまだに聞くことができていない。
急に一つの時代が終わってしまったようであまりにも名残惜しい。
さながら「オールナイトペイン」とでも名前を付ければいいのだろうか。

だから、少し明るい話をしようと思う。

土曜日に家で酒を飲んでいるとニコニコしたおばちゃんと好青年が家を訪ねてきた。
明らかにそれなのだが、酔っぱらって人懐っこくなったのか、僕はドアを開けた。
「今世界の真実を伝えるためにこの地域を回っております~」
やはりそれだ。
なぜかドアを開き、10分くらい世界の真実の断片を聞いてドアを閉じました。
「あーもしかして見込み客みたいな扱いになって毎週来られたらさすがに嫌だな」
などと考え事をしながらお酒を飲み続けていたら記憶がなくなった。

最近はなぜかアベプラニュースをずっと見ている。
ゲームをするついでに聞き流すのが心地いい。
僕のyoutubeのレコメンドには、いわゆるユーチューバーのようなゆるさはなく、ウクライナ情勢に関するニュース番組と社会問題を議論するコンテンツ、ビジネスチックな自己啓発で覆われている。
そんな流れでニュースを見ていると気になる動画に鉢合わせた。
宗教の献金問題に関する動画に目が留まる。

僕の好きな女優は綾瀬はるかだ。
中学生くらいの時にドラマ『ホタルノヒカリ』を見て惚れた。
そのドラマはただ綾瀬はるかがかわいいだけではなく実は教訓めいたことを内包していて、大学院生に至るまでに何度か見直している。
ある日、生徒と好きなタイプについての話になり、僕は綾瀬はるかの名前を挙げた。
「もうおばちゃんになっちゃったから別の人も見つけないとねー」
そう言いつつ、3-4年前、別の人はいたはずだった。
清水富美加である。

みなぎるPMというラジオ番組をやっていて、そこらへんにころがっているアイドルや女優のクソしょっぱいラジオとは一線を画していた。
聞き始めたきっかけはオードリー若林がゲスト出演をした動画をふと聞き流したからだった。
清水富美加については当時とっくに神に導かれていたので、その文脈がより顕著に彼女の異質さを際立たせた。
例えば、フジファブリック『茜色の夕日』を聞いて、バンド名で検索をかけたら好きになる前にボーカルがいないことを知った、みたいな難しい感覚である。

そういう経緯で清水富美加のラジオをすべて聞きながら「ただ結局は宗教の人でしょ」という謎の理性を持ち合わせて時間を過ごしたが無理だった。
彼女はおそらく約10年ぶりくらいに好きな女優の栄冠を手にしてしまった。

で、本題なのだが、今日現在、小川さゆりさんが好きな芸能人の栄冠を思うままに振り回している。
統一教会の二世信者らしく、教会と親から会見中止のファックスが届いて泣きながら会見をしていたその人です。
アベプラの時にはその人だと気づかなかった。
彼女に興味を持ったきっかけは話から漂う頭の良さだ。

バリバリの女性蔑視をするのだが、女っていうのは感情と論理の区別がついていないし、感情に流されて訳の分からないことを言い出す。
僕はcreey natsの悩む相談室を消したフェミニストどもを心のそこから軽蔑している。
という背景もあって、バチバチにロジックで勝負するストロングスタイルで感情的な出来事を含めながら客観的に話す様子を見ていると、大勢のコメンテーターぶった女性とは明らかに違うことがすぐにわかった。

大学のゼミとかで出会うような声の大きい人もあまり得意ではない。
優秀な女性が仕事をしている時というのは決まってそれだ。
そこにも小川さんの異質さを証明する要素があって、彼女はおとなしい印象でなおかつ優秀だ。
当然、いろいろあったのだから人間的深みも持ち合わせている。

かくして、一般人が僕にとっての時の人になった。

例えば彼女が芸能人だったらきっと好きになってたと思う。

ここ2日くらいは彼女の出演作品を見返して「かわいいな~」と思ったりするだけの日々を送っている。
フォーマルな作品での優秀さはそのままに、もう少し砕けた場面では彼女のかわいさがより一層際立つ。
彼女のyoutubeチャンネルでは動画を取るのに慣れていない、たどたどしさにも萌える。
「あ~論破されてーなー」

小川さんが勧誘に来ていたら、今頃は神の教えと崇高な願いを書き残したということに違いない。
もっと言えば、デリヘルみたいな感覚で家に来てもらうのではなく、彼女をたくさんの人の中から見つけ出した旦那さんが死ぬほどうらやましい。

宗教も愛情も心の隙間にやってくる。
突然に僕の時代が終わらされてしまったのだからショックを引きずるのもしょうがない。
こうやって文字を書きながら不条理を受け入れるように抵抗しているのだろう。
世界の真理は僕も教えてほしいよ。

おわり。